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令和3年度第2回相談会「新規就農者事例発表」詳細レポート(1)串山広樹氏(八代市)アスパラガス
令和4年2月11日(金・祝)「【オンライン】令和3年度第2回熊本県新規就農セミナー&就農・就業相談会」新規就農事例発表者(1)串山広樹氏(八代市)アスパラガス
串山広樹氏(39歳)八代市 アスパラガス、ブロッコリー、稲作
両親はい草農家。学校を卒業後、病院の経理職に従事。30代半ばにこれからの人生を考える中で独立することを意識し、両親が農家だったこともあり、農業で独立しようと決めました。
■就農の経緯
平成28年(2016年)振興局を訪問。研修や支援制度について相談。研修品目にあったアスパラについて調べる。
平成29年(2017年)八代市に就農相談
平成29年(2017年)8月29日JAやつしろに就農相談。(準備型の相談)
平成29年(2017年)9月18日会社を退職
平成29年(2017年)10月初旬 師匠の大江田氏による面接。
厳しい話をして就農する覚悟があるかを見極める。
・甘くない、厳しい世界である、簡単には収益は出ない
・かなり努力が必要
・自分がした分、そのまま自分に帰ってくる世界。
・手を抜いたら、それだけのものしか出来ない
・本気でやる気があるのか。それだけの覚悟が出来ているのか
結果、大江田氏と串山広樹氏との間で合意がとれ次世代を使った研修生へ
平成29年(2017年)10月31日 県に次世代人材投資事業(準備型)の承認申請提出
平成29年(2017年)11月1日 研修開始(約1年半の研修)
令和元年 (2019年) 5月1日 就農開始
経営内容(新規就農時)
■用地面積:アスパラ26a(ハウス21a) ブロッコリー・米50a
■労働力:2人(手伝い:父母(い業))
■販売方法:農協共販100%
■農地取得:農家である両親からの借受け
■農機具・施設など:(親から)トラクター、移植機、小屋(倉庫)
(新規で準備)◎ハウス 900万円(新品)◎動噴、防除機 ◎灌水施設200万
■借入金 1,100万円
■自己資金 0円
作付体系
■アスパラガス(1月全刈り、春芽栽培・収穫:2月中旬~4月 夏秋芽栽培・収穫 6月初旬~10月中旬)
■ブロッコリー1(播種:8月初旬 定植:9月初旬 栽培・収穫:11月初旬~12月初旬)
■ブロッコリー2(播種:8月中旬 定植:9月中旬 栽培・収穫:11月中旬から12月中旬)
■水稲:(播種:3月中旬 定植:4月中旬 収穫:8月)
■地域との付き合い
◎消防団 ◎体育協議会
■生活を支えた補助的収入
アルバイト
Q1:現在の就農地と現在の経営概要
八代市にて就農。アスパラガスを21a、水稲・ブロッコリーを51a栽培しています。栽培管理はほぼ1人で行い、繁忙期の収穫を両親に手伝ってもらっています。
Q2.農業の技術はどのようにして習得しましたか?
JAやつしろの研修制度を利用し、交付金をいただきながら、師匠である大江田浩氏の元で学びました。
Q3.農地はどのようにして取得しましたか?
両親が農業を営んでいたので、両親から借りています。
Q4.ハウス施設、農業機械、農舎などの所得及び資金の調達はどのようにしましたか?
トラクターや農舎は両親が所有していましたが、ハウス施設は青年等就農資金調達し、取得しました。
中古がみつからず新規購入です。融資額は1,100万円
■就農して苦労した点、また苦労していること
農業研修を受けたが実際作ってみると思い通りにはいかず、アスパラ一年目で病気を広げてしまい、本来冬に行う全刈り作業を夏に行った。当たり前のことではあるが、研修先と自分の圃場の土壌、人員、保有機械等作業条件が違うので、それに合わせた管理が必要。
栽培は、手を抜くと病害虫の被害にあいそれなりの収量しか取れない。しかし、たくさん手をかけたとしても、その分収入に返ってくるとは限らない。やり方を間違うと、逆にマイナスに働くこともある。今年は薬害を起こしてしまった。何にどこまで手をかけるか、農業は費用対効果を図るのが難しく苦労している。
■就農して良かったこと
良くも悪くも自分が行った結果が見え面白く、能動的に仕事をしていること。作物には気を使わないといけないが、基本的に人に対して気を使う場面が少なく会社で働くよりもストレスがないこと。
平日に休みを取ることが可能なので、子供の急な病気にも対応でき、人込みを避けて遊びに行くこともできる。自宅周辺にいることが多いので、スキマ時間に趣味や昼寝など好きなことができる。
就農3年目の串山さん(八代市のハウスにて:2021年11月24日撮影)
■新規就農希望者へのアドバイス
私の場合は、実家が農家という恵まれた環境で就農しているので苦労は少ないほうだと思いますが、全くの新規の方は作業面・金銭面での苦労が多いと思います。
また、どういう営農形態にするかで、大変さが違ってくると思います。私のように慣行栽培、農協出荷が一般的な営農形態だと思いますが、有機農業、自然栽培、多品目、直売、契約販売、加工品販売など様々な方法があります。私も農業を志した当初は「有機栽培で多品目直売いいな、利益率高いだろうしなんかかっこいいし」と考えていたのですが、色々調べた結果、憧れはあるが厳しいかなと思い断念しました。そういう経営で成功されている方もいらっしゃるのでできなくはないのでしょうが、そこまでもっていける自信がありませんでした。経営が安定した後に少しずつ挑戦していくこともできますので、今の営農形態にしてよかったと思っています。個人的な意見ですが、SDGsが世界的な潮流ですので有機栽培を国が進めて行くのではないかと思っています。もし有機栽培がしたいのであれば、地域ぐるみで有機栽培を行っている山都町をおすすめします。興味があれば相談にいかれてはいかがでしょうか。
最後に、私は就農して3年ですが、振り返ってなにが大事かと考えてみると、「人脈」だと感じます。研修先はもちろんですが、JA、近所の農家、資材屋、肥料屋など、自分が知らない知識・経験がある方がたくさんいます。農家には、作物ごとの栽培技術、肥料設計、農薬、トラクター等の機械・ハウス等設備関係、それだけでなく税金、労務など幅広い知識がひつようになります。「就農する=経営者になる」という意識を持ってください。私もたくさんの方に助けていただき、営農しております。一番重要なのは栽培技術ですので、就農前までに最低一人は師匠となる存在をみつけておくと良いと思います。
串山さんのブログ&インスタグラム (くしやま農園)KUSHIPARA
令和3年度第2回新規就農セミナー発表者の串山広樹(くしやまこうき)さんは会計事務所勤務、病院の経理の仕事を経たのち、2017年35歳の時に新規就農研修を開始されました。研修時代のブログ、そして新規就農者としてのブログやInstagramでの情報発信は新規就農を考える方にとって参考になると思います。
中小企業診断士で農家をされている方が発信する情報はきっとお役に立つと思いますので是非お読みください。
(※ご案内)国や県・市町村の支援制度などは毎年変わりますので、ご自分が就農される時の支援制度を担当部署ご確認下さい。)
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【受入農家】師匠 大江田浩氏について(68歳)
い業を営んでいましたが、平成13年(2001年)「年金プラス100万円」構想で、年齢を重ねても出来るアスパラガス栽培を決意。最初は4~5人程の仲間で、栽培について先進地区に話を聞きにいき、7軒の農家仲間と八代でアスパラ栽培を開始。
当初はアスパラ栽培についてJAやつしろの営農指導員も初めてのことで、手探り状態でしたが、販路はトマトとアスパラをセットにして市場にプレゼンを行うなどして売り先を確保。農家とJA職員の努力の中で、ゼロからのスタートから、現在のように収益が得られる状況に作り上げていかれました。現在は八代でのアスパラ農家も増えてきて、JAやつしろ管内で40軒以上の栽培農家がいらっしゃいます。大江田氏やアスパラ農家仲間は、現在、研修生だった新規就農者の元を訪れ、フォローを行っています。
(※大江田浩氏は、令和2年度12月の「受入農家研修会」で受入農家として事例発表を行いました。)
【オンラインセミナー新規就農者事例発表】YouTube動画
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