天草市岩下 靖さん

就農年
平成25年7月就農
主な作目等
トルコギキョウ(花き)
農業従事者
本人1名 (繁忙期のみパート2名雇用)

実家は果樹(みかん)と米を作っている農家。地元の農協でトルコギキョウの出荷作業のアルバイトをしていた時に、生産者の方(中元氏)から「花を作ってみないか」と声をかけて頂いたのがきっかけで、花き栽培に興味を持ち、将来は自分も農業経営してみたいと思うようになった。

岩下 靖さんの写真

研修の状況

独立を前提とした研修を受けたいと思い、天草市農業振興課に相談。天草市担い手支援協議会が主催する「新たな担い手育成支援事業」の農業研修生を募集中であることを知り、早速、応募した。
市から希望作物や将来の経営構想等のヒアリングを受け農家の選定を図って頂き、受入農家としてアルバイト中に声をかけていただいた中元氏が選定された。中元氏は新和町で、2.5haの面積でトルコギキョウを栽培し、主に関東、関西方面に出荷するベテラン農家であった。
市の研修期間は、平成21年12月から平成24年3月までの2年4ケ月間で、その間は主に、栽培技術、管理、収穫、出荷などの生産業務を中心に学ぶことができた。しかし、研修を終えても、まだ一人でやっていくには不安が残り、自分から中元氏にお願いして、更に1年間、中元氏のもとで農業経営の勉強をさせて頂いた。

就農への取り組み

【農地の確保】

新規就農者は農地の確保が難しいと聞いていて不安があったが、何の目途もないまま、将来は自分で農業経営をしたいという思いだけで研修に臨んだ。独立時には、運良く、受入農家で師匠でもある中元氏に支援して頂くことができ、中元氏がトルコギキョウを栽培しているハウス付き農地の一部をそのまま引き継ぎ、農業委員会の許可のもと貸借契約を交わすことができた。
研修から独立までスムーズに就農することができたのは、天草市やJA、就農支援アドバイザー等の関係機関の協力を頂いたこと、また、何より師匠の中元さんのおかげと心から感謝している。

 

【資金の確保】

就農前はアルバイトの仕事をしており、貯金は殆どない状態で農業経営を開始した。常識では無謀と思えることだがそれができたのは、中元さんのおかげに他ならない。また、できるだけお金を使わないで済むよう必要な機械類は貸して頂けたので本当に助かった。
平成25年7月に就農後、8月に青年就農給付金(経営開始型)を天草市に申請し、まもなく給付決定がおりたので必要な資材の購入や生活資金などに使うことができた。研修から就農、資金面までの一連の流れを市が支援してくれたおかげで、研修や経営に専念することができた。

経営の特徴

・JA共販にしており、生産に集中することができる。

・就農年は苗の育成が主で売上収入は殆どなかったが、2年目は400万円、5年後は800万の売上を目標にしている。

農業への思い

研修中と違って、一人で農業経営するということは全責任を自分が背負うということであり、甘えが許されない。そのことを日々痛感している。経営開始後もまだ技術的には未熟であり、今もわからない事等は中元さんや関係機関に指導を仰いでいる。周囲の支援があったからここまでこれたのであって、自分一人ではまだ形にもなっていなかっただろうと思う。

今後の目標

就農後、暫くは、育苗管理等の作業が主であったが、今年2~3月には念願の収穫ができた。初めて自分の名前で出荷し、通帳に売上が入金された時の喜びは何とも言えない感動であった。
今後は、少しずつ経営を安定させること、徐々に規模拡大を目指すことを目標にしている。
自分はまだ若輩者だが、トルコギキョウの産地を守っていけるよう頑張りたい。そして自分が中元さんから育てて頂いたように、いつかは自分も後継者を育成できるようになりたい。
また、自分の夢を理解し、応援してくれるようなパートナー、つまり…、花嫁さん募集中です!

独立就農前に

2年4ヶ月の天草市の研修が終わっても、まだ自分一人で農業経営をする自信がなかった。そのことを中元さんに相談したところ、更に1年間を中元さんからアルバイトとして雇用して頂いた。この間は、ハウスの一部の管理を自分に任せて頂いたので、独立前の仮就農という意識で研修できた。就農後に苦労すると思われることのいくつかを事前に体験することができ、今までの研修とは違う緊張感と充実感をもって臨んだ1年であった。

新規就農を目指す人へのアドバイス

・家族の理解を得ること、そして人間関係を大切に。周囲の協力や、師匠の存在は大きい。

・技術習得は充分にやった方が就農後の苦労が少ないと思う。