山鹿市鹿本町伊藤 将宏さん
- 就農年
- 2014年6月
- 主な作目等
- イチゴ(施設野菜)
- 農業従事者
- 本人・妻
就農する10年ほど前から年に1~2回有機農家の手伝いを行い「農業」や「農家としての暮らし」への理解を深めてきた。当時はオフィス業務から解放されることに大きな喜びを感じていたが、同時に自分でモノを作り出せる点、すべて自分の責任下で完結できる点などに魅力を感じていたと思う。また今まで出会った農家の方々の農業に対する情熱、そして何よりも都会に住む人々からは感じにくい豊かな人間性を彼らが持っていることを知り、更に興味を深めた。
研修の状況
熊本有機農業研究会が実施する「熊本県有機農業者養成塾」で1年間研修を受けた。この研修コースは、(1)先進農家での農業実習、(2)有機農業の基礎知識・農業経営基礎を習得するための月一回の集団研修からなり、「青年就農給付金(準備型)」の研修として熊本県より認定されているもの。平成25年6月から妻と共に研修を開始し、実習は菊鹿町のイチゴ農家で1年間受けた。
就農への取り組み
研修中に、受入農家の支援を得て農地(借地)と中古ハウスの手配を行ない、研修終了と同時に就農した。トラクターや管理機などは中古品を探していたが見つからなかったため、就農後半年間は受入農家からその都度借用させていただいた。資金は「青年就農給付金(経営開始型)」を利用しながら自己資金、及び平成26年山鹿市農林業チャレンジ支援事業(上限60万円)を活用しながら運営している。
経営の特徴
イチゴの無農薬栽培・有機栽培での自立経営を目指しているが、難易度が極めて高く、自身の知識・技術も不足しているため、慣行栽培(10a)と無農薬栽培(17a)を並行して行なっている。農協への出荷を行う慣行栽培により、イチゴ栽培技術の習得や最新情報の入手、経営の安定化を図っている。
農業への思い
100年後も同じように美味しいイチゴが作れて食べてもらえる、そんな農業を目指したい。つまり、自然環境にも人間にも過度の負荷が掛からない農業の実践。
就農して苦労したこと
農業開始当初は機材や資材の調達で支出が収入を大きく上回った。限られた自己資産をどのタイミングでどの程度投入するかの判断が一番難しく頭を悩ませた。またそのリスクを軽減させるための幅広い情報の収集、その前提となる人間関係構築も、地域や農家なりの作法があり、悩ましい。
新規就農を目指す人へのアドバイス
農業を実践することは、会社で言えば、総務、企画、財務、経理、生産・加工、販売、調達、広報、人事、などなど、すべての業務を行うこと。やり方により行わなくてよい役割もあるが、これを荷が重いと捉えるか、やりがいある仕事と捉えるか。私は、自分の意志さえあれば比較的始めやすく(他の業種と比べ)、これほどまでダイナミックな仕事は他に探すのは難しいと感じています。恐らく農業で自立経営していくことは簡単ではないと思いますが、魅力ある職業として多くの方にお薦めしたい