合志市高山 健也さん
- 就農年
- 2015年9月
- 主な作目等
- 大根(露地野菜)/じゃが芋(露地野菜)/里芋等(露地野菜)
- 農業従事者
- 本人・妻
前職で教育系のNPO法人にて体験学習(料理を作ったり、石鹸作ったりしていました)を担当していて、「体験活動の基礎」には人が生活するための「食」が大事だと感じていました。そこで、「食」に関する関心の高まりから、農業への理解と関心を高める場として自分の農場を持ちたいという思いが強くなりました。そして、農場で家族を養っていく「本気の農業」をやろうという思いに駆られ、前職を退職し就農しました。
就農地と現在の経営概要について
就農地は、義母の縁を頼って農地のある合志市にしました。
経営概要は、露地1haで多品目(50種類ぐらい)を少量(というよりは中量)育てています。労働力は、夫婦二人だけです。
農業技術は何処で研修したか?また、その研修先に決めた理由は?
「食」の大事さを突き詰めていく中で、私がやりたい農業は有機農業だと決めていました。そこで、以前から有機農産物を購入していた生協組合で「熊本県有機農業研究会」のことは知っていましたので、農業次世代人材投資事業を活用して有機農業の技術や経営方法の研修を受けることにしました。
農地はどうやって借りましたか?
義理の母の農地を30a借れましたが、認定新規就農者になるのに農地法で合志市は、50a取得する必要がありました。また、農業次世代人材投資事業(経営開始型)の交付を受けるにあたっては、借地の過半を親族から貸借している場合において、親族から貸借している農地を5年間の交付期間中に所有権移転しなかった場合は交付金の返還対象となることを、知り合いや市の農政課や農業委員会に相談して、別に第三者の農地を合計70a紹介していただきました。結果的には1haの農地を借りて多品目で収穫量を得ています。農地を借りる際には、市町村、農業委員会、知り合い、色々な方達との繋がりが必要です。普段からのお付き合いが大切だと思います。
ハウス施設や農業機械、農舎等の資金の確保、調達は?
就農当時私たち夫婦には子どももいましたし、二人目の子どもも生まれたばかりだったので、あまり農業に投資できませんでした。具体的には、トラクターと軽トラという最低限度の必需品だけ購入し、ハウスや納屋などは中古のものを利用してお金をかけずに設置しました。そして、最初は安い種や資材を利用して生産を行い、月ごとに振り込まれる収入を再び種や資材に投入して、少しずつ回転資金を増やしていきました。また、農業次世代人材投資事業交付金が得られた際には、ちょっとした農機具(管理機やハーベスタなど)を購入し、作業効率を上げていきました。
取り組んでいる農作物の課題及び苦労していることや農業をしてよかった点について
課題は、やはり無農薬栽培なので、常に病気や害虫対策と労力不足に苦労しています。また、販売先に種類と量が求められるので、一年間切らさぬよう生産する計画を確立する必要があります。そこで、出荷と作付けなどの管理がどちらにも偏らないように、年間の作業をならすのが難しく感じています。
良かった点は、多品目作ることによって、一つ一つの作物の失敗は、少なくすんでいます。そして、多品目で多様な作業があるので、変化があり楽しい農作業になっています。 そして、出荷先と消費者の距離が近いので、消費者の反応がわかり易くて、やりがいがあります。
今後の目標について
先ずは「安定経営(一年の作付けとそれへの作業予定を確立する)」にすることです。それから当初の目標であった「消費者や子どもたちの学習の場となる農場づくり」を手がけた後に、「同じ志を持つ人の研修や就農の場づくり」を作りたいと思っています。
これから農業を新規就農を目指す人へのアドバイスを
農業は自営業であるため、自分自身の経営に対する責任はとても重いですが、だからこそ、自分の頑張りが全て自分自身へと返ってくるやりがいのある仕事でもあります。肉体的にも楽ではありませんし、収入も不安定ですし、自分がやらねばならない仕事の内容も多岐にわたって苦労が多い仕事ではありますが、仕事がうまく行った時の満足感や消費者に喜んでもらった充実感などは苦労があった分とても大きく感じられます。
逆に言えば、そうしたことに喜びを感じられる人でなければ続かない職業かもしれません。生活できるだけのお金を稼げるかどうかも大きな問題かもしれませんが、それ以前に、この仕事にやりがいを持てるかどうかを想像してみる、あるいは体験してみることが大事かもしれません。